桜花賞を振り返って

gegege88

桜花賞を振り返って

　春のG1戦線を振り返ってみて、騎手の妙技が光ったレースがいくつかあった。

　桜花賞、天皇賞・春、日本ダービー。

　この3つのレースには、それぞれの騎手の経験と技術が存分に発揮されていた。
　岩田騎手、横山騎手、M・デムーロ騎手、いずれもベテランだ。

　今回は、桜花賞を振り返ってみたいと思う。
　勝った馬はレッツゴードンキ、人気薄だった。

　スタート直後から先頭に立ち、そのままレースを引っ張りながら進み、最後の直線で後続を引き離しての勝利。

　ここで注目したいのは、岩田騎手の柔軟さと馬の器用さ。

　もともとは、ハナを取る気はなかったと本人は語っている。
　思いのほかいいスタートを切ったのと、並びかけてくる馬がいなかったことでそのままハナを奪ったらしい。当初の作戦は、中団で控える競馬だったらしいので、この作戦変更の柔軟さは素晴らしいの一言。

　基本的にはレッツゴードンキは控える競馬が得意らしいが、ハナを奪った後も行きたがる様子もなく、落ち着いた雰囲気のまま走っていた。
　器用さがなければ、いつもと違った展開に馬は対応できない。それにしっかりと対応したことは、同馬の器用さを見せ付けたものと言える。

　後方で大本命に推されていたルージュバックを牽制し、他馬がペースを上げてこなかったのもあり、レースは終始スローペース。この展開も前を行く馬には、完全に味方する形となった。
　レースのペースと馬のペースをしっかりと把握し、先頭にいながら脚を溜めたレッツゴードンキは、後続を大きく引き離しての勝利となった。

　予想外に素晴らしいスタートを切ると言うことは、長い間騎乗していると結構あるそうだ。普段なら手綱を引いて、馬を抑えてしまう。それだけ、脚質と作戦と言うものは重視される。
　桜花賞での岩田騎手の乗り方は、言ってしまえば常識を完全に無視した乗り方。それでも、その時の馬の状態、レースの状態に合わせて作戦を瞬時に変更すると言うことも、時には必要になってくる。

　もちろん、どんな馬でもできるわけではない。
　賢い馬、器用な馬など、限られた素質のある馬だけができる。事前の調教やレースなどで騎乗し、その馬の事を深く理解しなければできない事。
　だからこその、ベテランの妙技だったのかもしれない。