気高きお嬢様
気高きお嬢様 どこまでも美しく、どこまでも気高いお嬢様。そのクセ小娘チキータな面を見せる小悪魔、その名はファインモーション。
抜群の身体能力を誇り、先行から押し切る競馬を得意としたお嬢様。
世界的名馬であるピルサドスキーを半兄に持つなど、血統的背景も素晴らしいが、当初は競走馬にならず繁殖牝馬として購入された。
調教師がファインモーションの素質を見抜き、オーナーに頼み込んで競走馬として登録されるという、出だしから波乱に満ちた競争人生だった。
この馬のデビュー戦は今でも忘れられない。
スタートから先頭に立つと、そのまま後続に4馬身差をつける快勝。しかも、上がり3ハロン(最後の600メートル)は、トップタイムをたたき出すと言うものだった。
ただし、その圧倒的な身体能力に対し、体の成長が追い付かず、脚部不安や骨折などもあり、長期放牧に出される。
その後、見事に成長を果たした彼女は秋華賞を勝ち、年上の牝馬との直接対決となるエリザベス女王杯も快勝。レース後の検量室で、天才と言われた武豊が『怪物や』と一言漏らしたという逸話まであるほどだ。
この馬の魅力は、なんといってもその容姿と性格。
鹿毛と言うありきたりな毛色であるにも関わらず、その整った容姿は一瞬で人を引き付ける。また、レースの時にはたてがみを編み込み、二色のリボンで飾りつけるなど、陣営のおしゃれな気遣いも、その魅力を高めていた。
非常に強い勝ち方をするくせに、気が乗らない時は凡走する。少しでも気に入らないと、わがままを言うように騎手の手を焼かせる。
だけど、引き揚げてきたときは、着順にかかわらず堂々とした振る舞う。その姿はどこまでも気高いお嬢様だった。
引退後は繁殖牝馬となったが、その後受胎することはなかった。医学的にも受胎は不可能と言う診断がされたために、今では牧場で功労馬としてのんびりと過ごしている。
牧場では二頭の馬を引き連れて行動することが多いらしい。その相変わらずのお嬢様っぷりに、思わず笑ってしまいそうになる。
そして、そんなところすら、愛らしく思う。
強さと気高さと幼さと美しさ。
そんな色々な魅力を持ったこの馬に、僕は一番惹かれていたのかもしれない。
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