聖剣の名を持つ
聖剣の名を持つ 圧倒的な末脚を武器に、与えられた名に恥じぬ戦いをした馬がいた。指定席は最後方。されど、彼の標的は常にゴール。
死力を振り絞り先行していた馬たちを一刀のもとに切り捨て、先頭でゴールを切る馬がいた。
凄まじい切れ味を持つ聖剣の名を冠した馬……その名はデュランダル。
サンデーサイレンス産駒としては珍しく、短距離からマイルを主戦場としていた。
競馬界の短距離戦線は非常に世代交代が激しく、毎年毎年違うスターホースが現れるとまで言われている中で、実に3年にもわたりトップであり続けた。
彼は非常に気性が激しく、ゲートで大人しくしているのが苦手なうえに、スタートするのも苦手と言うとんでもない癖馬だった。だが、武豊氏の『この馬は後ろから行って、大外回った方が走る』という一言で、その戦法に切り替え、能力が開花した。
それ以降の彼は、どんなレースも最後方に待機し、直線で一気に抜き去ると言うレースでライバルたちを蹴散らしていった。
鋭すぎるキレ味のある末脚は、馬名を正に体現して見せた。
個人的には04年のスプリンターズステークスが印象に強い。
結果から言えば敗北したが、ライバルとして台頭してきたカルストンライトオと、デュランダル共に持ち味を発揮した熱い戦いだった。
これだけの力を持ちながら、スプリント、マイルともに春秋の連覇はついに達成することができなかった。
生まれつき蹄が弱かったため、春のG1戦線前に裂蹄を起こし、そのまま秋までレースに復帰できない事が多かった。
引退の理由でさえ、蹄の病気である蹄葉炎だったほどだ。
後継馬に期待をしていたが、彼を超える産駒は現れないまま、14歳の時に急死してしまった。
聖剣デュランダルにちなんでつけられた馬名、それを見事に体現した馬。
凄まじい切れ味をもった彼の末脚は、一歩ごとに体をが熱くなるのを感じながら、同時に非常に冷たいものも感じる不思議なものだった。
これから先、彼ほどの切れ味を見せる馬は、そうそう現れないのかもしれない……。
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