パカパカファーム
パカパカファーム 国内で生産牧場は数あれど、この牧場はなかなか異彩を放っている。パカパカファーム、名前からして異彩を放っている。
創業者はアイルランづ出身の獣医師、ハリー・スウィーニィ。
元々永住する気はなかったが、紆余曲折の果てに牧場を開設し、今日に至る。なお、彼はまだアイルランド国籍らしい。
この牧場、何がそんなに異彩を放っているかと言えば、まずはその放牧地だ。他の生産牧場や育成牧場などは、放牧地と言うのはほぼ平坦になっている。馬にストレスを与えず、のんびり過ごし、心身ともに休ませると言う理由があるためだ。
だが、パカパカファームは違う。ここの放牧場は、自然の傾斜をそのまま残している。つまり、あちらこちらに坂道が存在していると言うもの。
この傾斜のおかげで、馬たち、とりわけ幼駒たちが、遊びの中で体を鍛えられるようにしていある。仔馬同士でじゃれ合いながら、放牧地を駆け回る。その中で、自然に坂道を上ったり下りたりするを繰り返し、心肺機能や脚力を無理なく鍛えられる。
実はこれ、欧州競馬界では常識となっている。
広大な放牧地に、自然の傾斜をつけておく。そうすることで、馬は好きなように動きながら、体を鍛えられる。人も馬も、いくら休養だからといって、ぼけーっとしていては逆に疲労が蓄積してしまう。適度に体を動かすことで、体の中の乳酸を追い出せると言うもの。
さらに、牧草の種類を変えることで、馬たちの性質を見分けることもできる。
例えば、坂の上にはおいしい牧草を生やし、坂の下には普通の牧草を生やす。こうすることで、やる気のある馬は坂を駈け上って草を求めるし、そうじゃない馬は坂の下にとどまるようになる。
競走馬としての闘争本能を、ここで見分けることもできるようになる。
まぁ、パカパカファームはそこまで起伏が激しいわけではないので、実際は馬の体を鍛える……とりわけ、基礎的な土台をつくると言う意味合いが強いと思われる。
そして、パカパカファームは放牧時間が長いそうだ。
生産牧場であれば日中は放牧し、夜は厩舎で休ませるっと言うのが基本。だが、パカパカファームは違う。昼夜放牧を基本としているらしい。
昼夜放牧とはなんぞ?
そう思われる方もいるだろう。だが、読んで字のごとしだ。常に放牧場に出しておくと言うもの。こうすることで、馬に与えるストレスは極限まで減らされ、また、常に動き回れることで、常に体を鍛えられると言うことになる。
どれもこれも、日本と言う国では異彩を放っているし、異質にさえ見える。だが、世界の競馬では当たり前のように行われている事でもある。
牧場解説から14年、それでG1馬を3頭も輩出していることから、この牧場が日本ではいかに最先端であり、日本の生産現場が世界から遅れているかを知らしめているように思う。
これから先、パカパカファームの快進撃はどこまで続くのか。それが、楽しみでしょうがない。
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