gegege88 发表于 2016-2-20 13:53

二頭の芦毛

二頭の芦毛 同じ時代に、同じ毛色で激闘を繰り広げた二頭がいた。
 くしくも、片方の馬はアイドルホースとして脚光を浴びたが、もう一頭はアイドルと言う扱いではなくどちらかというと、いぶし銀的な渋い存在となった。

 その馬の名を、タマモクロスとオグリキャップ。
 同じ葦毛、ほぼ同じ距離を得意としていた二頭。違ったのは、中央所属か地方所属かの違い。

 タマモクロス、中央所属。
 一見エリートの道を歩んだように思われるが、その道は波乱万丈だった。
 父はシービークロス。現役時代は、強烈な末脚を持ち『白い稲妻』と呼ばれていたが、実質的なビックタイトルはない。初年度は種付け料が10万となっていたが、実質は『酒二升でもいいから』と頼みに行くくらい不人気だった。
 そんな親から生まれたのがタマモクロス。生産者は期待していたが、周囲の評価は低かった。そのうえ、体の線も細かったので評価額は500万という、最低ランクのもの。
 その値段に不満を持った生産者は売却を拒否するが、それが原因で牧場は資金難になり倒産した。なので、タマモクロスは、勝利したときの表彰式には、生産者の場所には誰も立つことはなかった。
 デビュー後も苦労が続き、レースの度に飼い葉の食いが落ちるなど、管理には苦労が絶えなかったとか。
 それでも、遅咲きながら才能を開花させたタマモクロスは、天皇賞春秋連覇、宝塚記念などを勝つなどの活躍を見せている。

 オグリキャップ、地方笠松競馬場出身、後に中央へ移籍。
 両親ともに無名の血統。それに加え、生まれた時に右前脚が極端に外を向いていて、自力で立つことがなかなかできなかった。そのため、スタッフに手を借りて初乳を飲んだ。
 しかし、母親は授乳を嫌がるうえに乳の出も悪かったので、幼少期は痩せこけた体をしていたらしいが、それでもその辺にある雑草などをなんでも食べるほど、食欲旺盛だった。
 生き抜くと言う意志の強さと旺盛な食欲が相まって、オグリキャップはだいぶ立派な体をしていたらしい。そして、その体つきに違わぬ活躍を見せたオグリキャップは、中央への移籍を果たす。
 中央移籍後も優秀な成績を残す。着外になった方が少ないと言う、驚異的な強さを発揮した。

 そんな二頭がぶつかったのは、天皇賞秋と有馬記念。
 結果は1勝1敗。タマモクロスが天皇賞秋、オグリキャップが有馬記念を勝っている。


 葦毛と言う白馬を思わせるその容姿と、積み上げた勝利と言う強さの証が、第二次競馬ブームを引き起こし、その象徴として扱われたオグリキャップ。
 同じ時代に、同じ毛色をしながらも、アイドルホースとは正反対の人気を得たタマモクロス。

 この二頭の違いはなんなのか?
 個人的な見解を述べさせていただければ、成績の違いではないだろうか?
 先にも述べたが、オグリキャップは笠松時代も中央移籍後も、圧倒的な強さを見せている。そのため、マスコミによってその名は大々的に広まった。
 対して、タマモクロスは競争成績はパッとしない。それは、フィジカル面や精神面が弱く、輸送やレースの度に飼い葉の食いが落ちるなどがあったから。
 そのため、タマモクロスはオグリキャップほど名前が取り上げられなかったのかもしれない。

 個人的にはタマモクロスが好きだ。
 どこまでも泥臭くて、どこまでも苦労人。
 いわゆる天才というわけではなく、徐々に力をつけていって花を咲かせる。そんな姿が燻りながら、もがきながらも上を目指そうとする自分に重なるのかもしれない。

 ここまで大輪の花が咲かせられるかは……全くの未知数ですけどね。

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